5-1 [動詞(V)]
主形態素の中で第3のグル−プは動作、状態をあらわす形態素のグルー
プです。「動詞」(Verb)あるいは V と呼ばれます。
(i) 動作を表す動詞:
(1) come(来る), swim(泳ぐ), talk(話す), run(走る)、
など。
(ii) 状態を表す動詞:
(2) know(知っている), see(見える), smell(臭いがする)、
など。
5-2 [動詞(V)と動詞化子(VZ)]
上にあげた動詞(V)は、すべて、ひとつの語から成り立っていますが、
数ある動詞(V)の中には、いくつかの語がまとまり、動詞(V)句となっ
て働くものもあります。次がその例です。
(3) have a headache
(頭痛がする)
(4) be happy
(幸せである)
(3) の have は「〜を持つ」という意味の副形態素で、後に a headache
(頭痛)という名詞(N)句を伴って動詞(V)句を形成しています。こ
の本では、名詞(N)を動詞(V)に変える転換子(CVT)として位置づ
けられることになります。また、(4)の be は「〜である」という意味で、
happy(幸せな)という形容詞(A)を伴って動詞(V)句としてまとまっ
ています。この be は、形容詞(A)を動詞(V)に変える転換子(CVT)
ということになります。
この本では、上の have や be のように動詞(V)句の「左端の転換子」
を、名詞(N)や形容詞(A)を動詞(V)に変えるという意味で「動詞
化子」(Verbalizer)あるいは VZ と呼ぶことにします。したがって、
(5) VZ(have) + N(a headache) V(have a headache)
(6) VZ(be) + A(happy) V(be happy)
また、(3), (4) の樹形図は、
(7) (have a headache)
V
/ \
CVT N
(VZ=have) (a headache)
(8) (be happy)
V
/ \
CVT A
(VZ=be) (happy)
次の come の例と比較してみましょう。
(9) (come)
V
|
V
(come)
ただし、動詞化子(VZ)についての詳しい説明は、後述(cf.10-2)。
5-3 [BE動詞(Vbe) と 一般動詞(Vcom)]
これらの動詞(V)のうち、be happy など、動詞化子(VZ)として be
を持つ動詞(V)と、come, have a headache などその他の動詞(V)と
ではその文法特性が大きく異なるため、この本では、前者を「BE動詞」
(be-verb )あるいは Vbe、後者を「一般動詞」(common verb)あるい
は Vcom と呼び、区別します。以下に若干の例をあげますが、くわしくは
後述(cf. 9-3〜9-7)。
(i)<BE動詞(Vbe)>
(10) be lucky(幸せである), be strong(強力である),
be in the garden(庭にいる)、など。
(ii)<一般動詞(Vcom)>
(11) go(行く), hit the target(的に当てる),
look sad(悲しそうだ)、など。